マークXの恐るべき戦略 日本の男のド真ん中!
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:中野 英幸
トヨタ・マークII及びその後を引き継ぐマークXシリーズは、ある意味モータージャーナリストに取って難問とも言えるクルマだ。というのも今までなかなか正当に評価されてこなかったスポーツサルーンだからである。
原因はズバリその閉鎖性にある。一部を除き、ほとんど海外進出をしてこなかったし、実際デザインや走りの味付けは日本独特で、言わばスパゲティ・ナポリタンであり、たらこスパゲティ的。ヨーロッパ志向の強いモータージャーナリズムからは認められづらかったのだ。逆にバブル期にチェイサー、クレスタの三兄弟と合わせて月販4万台オーバーと大ヒットした時には、その心理的壁を高めたくらい。「これが売れちゃうのかよ」という…
デザイン遍歴を見ても、紆余曲折。一時はアメリカ調だったり、ヨーロッパ調だったり、骨太でコンセプトの揺らぎが少ないヨーロッパ車信奉者からは半分冷遇されていたと言ってもいい。
だが、私はその気持ちも理解しつつ、どこか認めざるを得なかった。それはなにより日本人そのものだったからだ。アメリカに憧れ、ヨーロッパにも憧れ、ジーンズを履きつつ、イタリアンパスタも愛する。まさに“俺たち”そのものではないか! しかも安い!! だからCMで佐藤浩市が例のキャッチコピーを呟いた時には衝撃を受けたもの。
「男の真ん中でいたいじゃないか…」。ホントそれそれ、その通りよ。これが日本のクルマ趣味のド真ん中なのかもしれない。
売れ行きも予想以上で、個人的にマークXはこのままミニバンやコンパクトSUV、ハイブリッドカーの影に隠れて消えていくかと思いきや末期で月販2000台弱、通期で3000台。今や間違いなくBMW3シリーズやメルセデスCクラスをぶっちぎりで越え、日本で一番支持されているスポーツサルーンである。これを評価せずして日本のモータージャーナリスト、いや“日本の男”と言えるだろうか。
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